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駐車車両に係る交通事故


〜本当に駐車車両だけが悪者なのか?〜

序章の「〜なぜ改正されたのか〜」でも触れましたが、道交法改正による駐車車両の取り締まりのお題目として「違法駐車は、都市部を中心に常態化し、交通渋滞や交通事故の原因となっていた」 とされ、「平成15年中における駐車車両に係る交通事故の発生状況については、駐車車両に衝突した人身事故が2,658件(うち死亡事故92件)、駐車車両の陰からの飛び出し等、駐車車両に起因する人身事故が6,438件(うち死亡事故33件)となっていた。」

とあります。
もちろん駐車車両がない、という状況のほうが事故が少ないであろうことは否めません。ですが事故の原因は本当に駐車車両にあるのでしょうか?
もしそうならば、路上駐車が常態化、というか市街地においては個人の駐車スペースにすらなっている欧米諸国では日本に数倍・数十倍も事故件数があるのでしょうか?そんなことはありません。
まぁ正直な所、欧米諸国では多少車が傷ついた程度の接触で「事故だ!弁償だ!」と大騒ぎしないので、単純な件数の比較は無意味ですが。


とはいえ警察発表の拠り所である平成15年度の事故件数の総計はおよそ95万件。死者数は7700人。
このうち「駐車車両に衝突した人身事故が2,658件(うち死亡事故92件)」「駐車車両の陰からの飛び出し等、駐車車両に起因する人身事故が6,438件(うち死亡事故33件)」
事故件数

ということになるわけですが。上記の2パターンの事故件数を足しても全体のわずか1%弱です。死者数にしても全体からみると1.7%程度ですね。


この数字は果たして「多い」と言える数字でしょうか。もちろん0なのが望ましいのは言うまでもありませんが、法改正の根拠として成り立つだけの数字でしょうか?
疑問点はまだあります。

事故統計-法令違反

日本国内の事故統計を見ると、事故発生件数のうち約7割にものぼる件数が「わき見」「漫然」「不注視」「不確認」などの所謂前方不注意です。
ボーっとしてたりよそ見してたり、携帯電話使用してたり、カーナビのTV見てたり。
これ以外にも数字には出ませんが「スピード違反ではないが繁華街には不適切な速度」だったり「詰め過ぎた車間距離」だったりもありますよね。


そしてこちらは自転車・歩行者の内訳です。

自転車&歩行者

上の図は死亡事故の統計になりますが、自転車にしろ歩行者にしろ、「違反なし」で事故にあっている割合はわずか2〜3割。
あとの7〜8割はなにかしらの「法令違反」に該当するんですね。
ドライバーの皆様も身に覚えがあるハズです。事故に至らずとも「ヒヤっと」した経験がありますよね。特に自転車は脅威です。
実際に「駐車車両に起因する人身事故」の大半のケースで自転車もしくは歩行者の過失が認められています。


近年、自転車の事故発生件数が増加し、規制強化の流れも出つつあります。しかしこれも、ちょっと極論ですが、お金にならない違反を野放しにしてきた警察にも責任の一端があるのではないでしょうか?
「自転車は車両であり、基本的には歩道を走ってはいけません」くらいの最低限ともいえる知識すらない自転車ライダーのなんと多いことか。
そしてよく見かけていた、車道を走る自転車に対し「危ないから歩道を走りなさい!」とパトカーから拡声器で注意する警察官
そして今、歩行者と自転車との接触事故が増え、問題になったころにやっと「自転車は車両なので車道を走ろう」とか言われても・・・


更には駐車車両に対する追突事故の6割が夜間に発生しています。昼間に比べ圧倒的に視認性が悪いので当然なのですが、逆に言えば「薄暗い道路に無灯火で停まっている車両」に 「駐車車両に気がついてから回避行動が間に合わないくらいスピードが出ていた・気がつくのが遅れた」ということです。
このようなケースだと繁華街というよりはやはり郊外の道路に多い傾向がありますが、駐車取り締まりはほとんどが繁華街などの「重要地区」でしかも夕方6時までです。
なので例えば深夜に薄暗い道路脇で車を停めて仮眠を取っている大型車両(もちろんハザードなのど灯火類はなし)のような危険な車は野放しなのです。
別にこういう車を重点的に取り締まれ!とは思いません。仮眠は事故防止のためにも必要不可欠です。
ただし、そういう場合でも安全対策を取ることを義務付けることくらいは必要だと思います。
そして無駄な道路標識をあちこちに付けるくらいなら、こういう「事故が起きそうな」そこそこの道路幅の薄暗いところに街灯の設置などの予防策を取るべきなのでは?
繁華街の物流車両だけではなく、深夜の郊外の長時間駐車車両が「安全義務」を守っているかどうかをチェックしたらどうです?事故減りますよ?


こうして見ると本来警察がやらなければならなかったことを大体において「しなかった」おかげで発生している事故も多々あるでしょう。
それを棚に上げて、わずか1%程度の事故原因(それも必ずしも駐車車両が悪いせいだけではない原因)を根拠にして自分達に都合いい法改正をする。

果たしてこれは本当に国民の安全を守るためなのでしょうか。



>次コラム 『駐車車両に係る交通事故〜本当に駐車車両だけが悪者なのか? Part2〜』

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