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コラム「歩行者の謎」


〜優遇されすぎな歩行者〜

歩行者とは、読んで字のごとく「歩く人」であり、車やバイク、自転車などに乗らず己の足で歩いておりますが、ちゃんと道交法の規制の対象になっております。
もちろん車両と違いあまり細かい規則はありません。ちゃんと横断歩道を渡りなさいとか、飛び出しちゃダメよとか、危ないから道路の右側歩きなさい(歩道または路側帯がある場合除く)とか。
歩行者は交通の上では「弱者」になります。当然ですね。何かあったらすぐ怪我しますし、最悪の場合死の危険がありますし。
ですから個人的には歩行者優先という考え方には異論はありません。


しかしですね。弱者には弱者の「自衛」ってのも必要なのがこれまた当然だと思うんですよ。
弱者だから何でもアリ、なんてのは普通では通りません。
ちなみになぜこんな事を言うかといいますと。上でちょろっと書いた「ちゃんと横断歩道を渡りなさい」ですがね。
この「ちゃんと」と言うのは“近くに横断歩道がある場合は”横断歩道を利用しろ、って事なんですよ。
横断歩道がないところは、歩行者はどこを渡っても優先されなきゃいけないんです(横断禁止場所以外)。


車バンバン走ってる道路で「どこでも渡っていい。車は止まって歩行者優先しろ!」なんて事実上不可能でしょう。
けど法律ではそう決まってます。歩行者優先です。だから車サイドから見たら「飛び出し」に近い状況でも車は歩行者優先です。
これでもし事故ったら?「歩行者がいたのだから、横断するかも?という前提で〜」なんて言われちゃうかも知れません。
ですので対歩行者事故の場合、ほぼ車両が悪者です。頑張っても精々8:2←これが歩行者の過失割合。
こんな法律、現実的だと思います?


法律が制定された昭和30年代は、まだ車も少なく、車道も整備されておらず、制限速度も低かったのです。
制限速度どころか車の性能もまさにケタ違い。もちろん悪いほうに。たかだか1000cc前後、最高速度で100km/h。
そういう車が未舗装の道路を走るのですから、さぞ歩行者には注意したことでしょう。
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」でもその時代の映像を垣間見ることが出来ますが。やっとTVがカラー放送になったような時代なのです。
そんな状況であれば、圧倒的大多数でしかも弱者である歩行者が優先されるのも妥当です。
ですから駐車規制においても「左側に0.75mの余地を取りなさい」とか「右側に3.5m以上の余地がなきゃダメです」と言うような歩行者に配慮した規制でも成り立つのです。
こんな頃↓

昭和35年頃 東京駅昭和35年頃 上野昭和35年頃 六本木
昭和35年頃 渋谷昭和35年頃 渋谷昭和35年頃 渋谷
昭和35年頃 新宿昭和35年頃 新宿昭和35年頃 新宿

しかし車社会の現代で、昭和30年代と同じように「歩行者優先」をしていたら交通は100%マヒします。そこらじゅう大渋滞です。
大渋滞もですが「ほぼ全ての道路で駐車禁止」という整合性の全くない駐車規制になり下がりました。
口で言うほど歩行者優先など考えもせず、道路を適当に作りまくった結果がこれです。
車の渋滞のみならず歩行者保護の観点からも法律の改正は必要だと思いませんか? 決して優先=保護ではありません。
車両は歩行者の安全に最大限の注意を払うべきですし、歩行者も自衛するべきだと思うわけです。
自衛のための法改正は別に「とにかく罰則強化」じゃなくていいんです。道路を安全に住み分けよう、というだけです。


そして歩行者に対する数少ない規制のひとつ「車両の直前・直後では横断してはならない」という規定。
そうなんですねー。駐車車両で見にくい!とか言う以前に、横断しちゃいけないんですよ。歩行者は。
なぜこのように法律違反を犯した人を相手に事故して、車が「前方不注意」だの「安全不確認」だの責められるのです?
歩行者が法律に違反しているのに、過失割合8:2が精々7:3とかになるだけです。割合なんて警察の胸先三寸ですからね。
どうしてそこまで法律違反者を保護しなきゃいけないんでしょう。交通弱者だから?
じゃあ社会的弱者は犯罪してOKですか。そんな訳ないじゃないですか。
だのになぜ、交通弱者だけは法律違反者でも保護対象なのでしょう。
車を悪者にしといたほうが警察に都合がいいからです。
歩行者の安全のために法改正するより、車を悪者にしといたほうがお得なんです。


例えばの話ですよ?あくまで。
もし仮に歩行者は道路横断が禁止されて、横断歩道以外、特に車両直近での横断には「危険性が高い違反」としての判断がされ、もし事故に遭っても保険金は下りない、更にはヘタしたら「加害者」となって道交法違反でタイホ、ってなったら。
アナタそれでも飛び出ししようと思います?
事故って痛い目にあって、更に犯罪者になって賠償金払う立場になってまで、どこでも横断しようと思います?
どうせ車が止まるだろ、なんて気軽に道歩けます?
犯罪や事故の抑制に必ずしも「厳罰化」が有効とは限りませんが、多少なりとも今よりは気をつけるようにはなるでしょうし、当たり屋はいなくなりますね。
少なくともただ優遇されているだけよりはマシと思いますが。
個人的には別に厳罰化を望むものではありません。正しい規制をして欲しいだけです。
絶対的に優先されなければいけないのは、子供(小学生レベルまで)とか高齢者とか障害のある人だとかだけで良いと思いますがね。
正常な思考能力も判断能力も運動能力もある成人が所構わず道路を横断するのを優遇する必要性など全く感じません。
とはいえもちろん、住宅街の細い道路などでは車は歩行者に細心の注意を払うのは当たり前という前提での話です。
車にも歩行者にも、メリハリのある規制が必要なのではないでしょうか。



>次コラム 『法定駐車禁止場所 3.5m以上の余地について』

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