駐禁反対.COM

〜見せかけの規制緩和〜


謎の規制緩和

駐車監視員を動員しての取り締まり強化に対する反発。この対応策として警察庁は規制の見直しするように各都道府県警に通達をした。
これをうけた各都道府県警察は、○○区間△△km(××%)の駐車規制を解除・緩和した、と発表している。
警察庁は、各都道府県警察の実施結果をまとめて次のような発表をした。
『約2万4600区間、約1万9600km(約10.8%)の駐車規制を解除・緩和した。』



素晴らしい。迅速な対応。さすが地域住民の味方・警察だ!!



…と思いきや。
注意深くみると報道されているのは主に貨物車の除外だ。その一方、もともと取り締まりをしない郊外道路を中心に、無指定(レベル4)区間を増やしている。
その「主に貨物車の除外」ですら全く用を成さないやり方である。貨物車専用パーキングエリアを作りました?
どうして一個配って150円の荷物のために300円のパーキングに停められるんでしょうか。タクシーは停め放題なのに物流はなんで有料なんでしょーか。
そしてそもそも法改正の前後を問わず駐禁取り締まりのメインとなるのは都市部の中心街である。だから、もともと取締りのない山間部や田園地帯、あるいは湾岸の工業地域などの規制を緩和してもあまり意味はない。


いったいどんな規制緩和をしたのか、具体的にみてみよう。

参考:駐禁クライシス(PBI - 交通行政監察官室)


神奈川県警のケース

神奈川県警が規制を緩和した、と発表した場所の例をいくつか紹介。
・根岸駅周辺道路
・武蔵中原周辺道路
・平塚駅南口周辺道路
・本厚木周辺道路
・相模大野駅周辺道路
・大和駅周辺道路

上記の場所はいずれも無余地場所(当該車両の右側の道路上に3.5メートル以上の余地がない場所)で法定駐車禁止場所です。
つまり、クルマにとってはもともと法定の駐車禁止場所なので、駐禁表示があろうがなかろうが関係ない。
そして前章でも述べたように、そもそも規制基準で「規制を実施しないこと」とされている場所である。 こんな場所を「規制解除した」と言われても全く意味が分らない。


埼玉県警のケース

埼玉県警がホームページに発表した規制緩和の内容によれば27箇所33区間8178mの規制緩和が実施区間がしめされている。また「パーキングチケット等の設置措置をしています。」とつづき、そのあとにパーキングメーター/チケットの設置場所リストが掲載されている。
まるで規制緩和の一環としてパーキングメーター/チケットを増やしたような書き方だ。
しかしながらホームページに掲載されたパーキングチケット等の設置場所はむかしからあるもので、法改正の前後に追加したものではない。現実にはパーキングメーター/チケットはこの5年間ほど減らしているのだ。


他にも春日部駅と久喜駅の駅前通りでビジネスアワーに限定された規制解除がされた。これを前面に規制解除をアピールするのが狙いだが、そもそも規制があったのが不思議なような道路である。
しかも春日部警察署の発表によれば『春日部駅西口ふじ通りは午前10時から午後5時まで駐車枠内のみ、短時間の駐車が可能になりました。』とある。
この道路はもともと「随時取り締まりを行っているものの、短時間の駐車が多く、車両の入れかわりが激しいことなどから、駐車車両の減少にはつながっていない(春日部市議会)」ような場所であり、規制緩和の狙いで改正されたとも思えません。
それに裏を返せば駐車枠内に収まっていない車両は即検挙できる名目が出来た、ということでもあり、そもそも「短時間」という不明瞭な記述の意味が分りません。


このように解除・緩和する場所がもともと駐禁取締りのない山林の道路であろうが、人っ子ひとりいない田園地帯であろうが関係ない。
ただ「○△%を解除・緩和した!」というデータのために形だけの規制緩和を行い、肝心の都心部(駐車監視員の活動地域)では必要な規制緩和など行われない。
やるのは上記のような意味不明な規制緩和だけだ。


北海道の規制緩和例

何事にも例外があります。
上は北海道警察が実施している、札幌市の道路規制緩和の例。実に分かり易く効率的に緩和されている。
しかし残念なことに対象はわずかな区間のみ。兵庫県警でもおなじような緩和を一部区間に限り実施しています。
このような緩和こそ一部ではなく全国一律で迅速に行って欲しいものです。


いい例もあれば悪い例もある。

鳥取の乱

これが「民主的な警察」「正義の警察」の実態である。地域の実情や住民の意思・要望などは最初から無視。
上司(警察庁)の言われるがままに実施強行。地域自治だの地方分権だのが聞いて呆れます。
そして「要望書を提出するに至った理由」が地域住民の生活を圧迫するものであっても、行った緩和は「重点地域」に引き下げたのみ。
キメ細やかな対応?合理的な駐車規制?一体どの口が言うのでしょうか。


そもそも「駐車規制は、交通の安全と円滑の確保という道路交通法の目的を達成するため有効な手段」であり、それは確かに正しい側面を持っています。
しかしながら肝心の道交法が全国一律の全く柔軟性の無い、国民生活の実情に即さないものであるならば、法律としては「下の下」であり、即刻改正するべきものです。
そして本来、各都道府県警察はこの「下の下」の法律を地域の実態に合わせて調整し、実施するために「施行令」や「条例」などで細かい規制や緩和を行える立場にあるハズなのですが、実際には 警察庁からの上意下達に唯々諾々と従うだけの小役人的存在なのです。
そのための方便が「道交法で決まっている!」というセリフであり、それゆえ「下の下」の道交法がそのまま全国一律で幅を利かせ、「取り締まることが目的」な警察によって取り締まられるのです。
日本の警察はこの「目的」と「手段」を完全にはき違えて、いや多分分ってやっているのでしょう。取締りの正当化のために。



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